2014年10月20日
10月19日(日)滋賀レイクスターズ 対 大阪エヴェッサ 戦
まずは大阪エヴェッサを愛する全ての皆さまへ、10周年誠におめでとうございます。bjリーグ初代チャンピオンであり、合わせて3度の栄冠に輝いた偉業は実に素晴らしかったと思います。何故ならこの国におけるバスケットボール勢力分布図はどちらかと言うと東日本が中心であり、そんな中西日本、特に近畿にチャンピオントロフィーをもたらした事の貢献度は誠に大きかったと思うからです。

滋賀レイクスターズほど大阪エヴェッサに苦しめられ、試練を味わった球団は他に無いと思います。初めてのプレイオフの神戸での大逆転負け、そして大阪の本拠地で勝利を挙げるのに実に3シーズンを要した事。初めて大阪エヴェッサに勝利した初年度の歓喜の涙は今でもよく覚えています。滋賀レイクスターズは間違いなく大阪エヴェッサに一番鍛えて貰った球団、言わば大阪エヴェッサの強さのお陰でステップアップ出来たチームだと確信しております。
この10周年に王座奪還を果たす意気込みは並々ならぬものがある事を風の便りで耳に致しました。そして今シーズンはそれに相応しいロスターが集まったと思います。そんな記念すべきシーズンにも関わらず今シーズン大阪対滋賀戦がないのは非常に残念ではありますが、願わくばこれからも互いにリスペクトし合い、関西のバスケットボールシーンを一層盛り上げていく事を心より希望致しております。

【EVESSA PRIDE ~仲村直人のシュート力に頼らなかった采配~】
さてゲームですが、エヴェッサはこの日まで連敗中という事もあり、そんな中エヴェッサがどんなバスケットを展開してくるのか興味深々でした。連敗を脱するのに一番最善の策は、“あれこれ中途半端な事を考えずに一つの事に徹する事”だと思うのですが、この日のエヴェッサは見事に40分間それを体現したと思います。とにかく激しいディフェンスからのインターセプトをrun-and-gun、それを表すのが滋賀のFTが8本に対して大阪が20本という数値では無かったかと思います。大阪はそれを90%の確率で決める事が出来ました。

“中途半端な事をしない”采配で一番良かったのが、苦しい時間帯に安易に仲村直人選手のシュート力に頼らなかった事だったと思います。苦しい時には得てして得点で逃げたくなるもの。しかしそれではレイクスの豊富なシューター陣を逆に落ち着かせてしまい、決して得策にはならなかったのではと思うのです。シュートよりもこの日は機動力一本。エヴェッサのこの試合に賭けるそんな意気込みを大いに感じる事が出来た試合でした。

しかしこれでエヴェッサの問題点が解消された訳では無いと思います。エヴェッサが一番立て直さなければならないのは組織ディフェンス。しかも今日の様な試合運びをこの先ずっと続ける訳にもいかず、本来のスマートなバスケットを展開していかなければならないのも紛れもない事実でしょう。10周年というこの好機にぜひとも強かったエヴェッサが帰ってくる事を期待して止みません。

【弱点を“これでもか!”と曝け出したレイクスターズ】
一方レイクスですが、この日は気持ち良い程に今シーズンのチームの弱点を曝け出したと思います。これだけのシューターを揃えたのは丁度レイクス3シーズン目の時と非常に似ていると思いますが、あの時も同じ様な問題点を露呈しました。

①個人シュート能力だけの現在のチーム
一番の問題点はウットベリー超特急が行ったっきりになる事ではないでしょうか。ウットベリー選手がアタックを試みて(見せかけて)、そこからレイ・ジェフ選手にパスが回った時に、レイクスのオフェンスは初めて本物になると思います。ウッドベリー選手からのレイ選手のアウトサイド、ジェフ選手の合わせからのワンハンドダンクが出た時、相手チームに与える驚異は絶大になるでしょう。どうしてもシュートが入っている選手に指導するのは難しい。しかし常に今日よりも明日の事を考えないといけないと思います。

②中村一門の永遠の課題、ミドル級チームのインサイド攻略
特に遠山ヘッドは機動力を生かしたバスケットを信条とされますが、その反面重くインサイドを攻略(突破)するという事がどちらかと言うと不得手です。なのでどうしてもオフェンスが捕まると重い展開になるし、ディフェンス面においては相手が重いとファールがかさみます。今シーズンのレイクスはまだ組織立てたインサイド攻略が全くと言って良い程出来ていないと僕は思っています。

③クリスホルム選手
②の延長線上の話ですが、クリスホルム選手のインサイド攻撃が余りにも弱い、弱過ぎるのをどうするのかという問題です。恐らくクリス選手のFTの確率の悪さもあり、シュートよりもリバウンド重きになっていると思うのですが、ハイポストでボールを貰ってもリングを見ていません。なので対戦相手のスカウティングによりそこをスティールされる様になりました。
僕は実はクリス選手がこのチームの命運を握っていると思っているのです。苦手だからと言って自分が出来る範疇の事だけを無難にこなしていくのは如何なものかと。苦手だからしない、させないではなく、苦手な事にもチャレンジする。例えばパワーで突破が難しいのであれば第4クォーターに見せたキャプテン-クリスのピックアンドロールからのフィニッシュだってあります。浜口ヘッドコーチが仙台時代にあれだけ能力を買っていたクリスホルム選手を、ハンナリーズで何故1年で手放す結果となったのか.....。
しかしクリスホルム選手の脱皮がレイクスの勝利に繋がるのであれば、彼にとってこんなに遣り甲斐のある立ち位置は存在しないでしょう。仙台、新潟、京都時代だけのクリスでは無い、滋賀でしか出せないクリス選手に大いに期待したいと思います。

【これからの伸びしろが無限大のレイクスターズ】
まずキャプテンがほぼ全速力で走れる様になったのは非常に大きい収穫だったと思います。3クォーターに相馬選手と交錯して一瞬ヒヤっとしましたが、当初遠山ヘッドはキャプテンに『プレイオフに間に合わせてくれ。』という注文を出しておられました。それなのにこの嬉しい誤算、このままどうか順調に復調して欲しいものです。キャプテンが完全復活をしてヨコ選手とポイントガードを分け合えた時、このチームは更に的を絞れなくなります。それはリン、遥太、友貴選手にも必ず良き影響を与える筈です。

加納選手はライジング時代、外からよりももっと積極的にペネトレイトする選手でした。そう言った意味ではまだまだ彼はベールに包み込まれた状態です。ミスターバスケットIQの岡田選手が存在する以上、練習を重ねれば必ずレイクスのターンオーバーは1桁になるだろうし、ミドルが多いチームである以上、井上選手のオフェンスリバウンドの重要性がこれから益々増えていく筈です。
練習した事しかコートでは表現出来ない以上、きっとコーチは練習しても練習しても全く時間が足りない状態なのだと推察します。出来うればあまり他の事でその隙間を埋めて欲しくは無い、じっくりと練習に専念させてあげて欲しいものです。レイクスに今一番必要なものは目先の1勝もさる事ながら、寸暇を惜しもうとする姿勢では無いでしょうか。

【四方山話】
ハーフタイムの時にレイクスのスタッフさんが新しいコートを念入りにチェックしていた光景は今までに無かったものと非常に感心致しました。ただ、もしかするとこの新しいコート、実はスリップが非常に多い問題点を抱えているのでしょうか?。もしそうだとすれば怪我からの再起を図るキャプテンにとっては非常に負担が大きいと思うので、早急に対策を考えるべきです。

キャプテンとエースの絆。それはこのチームが今シーズン望む結果には欠かす事の出来ない重要な力になるので、思わぬ所で足元をすくわれない様に祈るばかりです。
成基学園・Gゴールフリー Presents
10月19日(日) ●滋賀レイクスターズ 66 − 90 大阪エヴェッサ○
1Q 17−26
2Q 20−19
3Q 11−29
4Q 18−16
1月11日(日)滋賀レイクスターズ 対 群馬クレインサンダース 戦
12月13日(日)滋賀レイクスターズ 対 新潟アルビレックスBB 戦
11月29日(日)滋賀レイクスターズ 対 広島ライトニング 戦
5月24日(日)岩手ビッグブルズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月23日(土)浜松東三河フェニックス 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月10日(日)京都ハンナリーズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
12月13日(日)滋賀レイクスターズ 対 新潟アルビレックスBB 戦
11月29日(日)滋賀レイクスターズ 対 広島ライトニング 戦
5月24日(日)岩手ビッグブルズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月23日(土)浜松東三河フェニックス 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月10日(日)京都ハンナリーズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
Posted by せん(閃) at 11:23│Comments(4)
│レイクス
この記事へのコメント
お久しぶりです(^^)
やっと開幕しましたね♪
西地区は滋賀がものすごい補強に成功して注目を集めていましたが、大阪も負けていないとこの試合で思いました。
ただ閃さんのおっしゃるとおり、滋賀はまだ少し
ウッドベリーと岡田しか目立っていない感じがします。
ですが、大阪に敗れた経験は非常に大きいはずです。
ただで起き上がる遠山HCではないと思っていますので
今期の滋賀レイクスターズには本当に期待しています。
やっと開幕しましたね♪
西地区は滋賀がものすごい補強に成功して注目を集めていましたが、大阪も負けていないとこの試合で思いました。
ただ閃さんのおっしゃるとおり、滋賀はまだ少し
ウッドベリーと岡田しか目立っていない感じがします。
ですが、大阪に敗れた経験は非常に大きいはずです。
ただで起き上がる遠山HCではないと思っていますので
今期の滋賀レイクスターズには本当に期待しています。
Posted by わさびーふ at 2014年10月20日 23:27
わさびーふさん、み〜どぅさる。がんじゅやみせ〜み?。
滋賀の補強はある意味怖いですよ。他のチームでは凄くても、このチームに来ると何故か途端に空回りしますから。そして基本育成しませんからねこのチームは。
ただ、岡田選手だけは安心しています。浜口ヘッドに鍛えられた選手ですから。
遠山ヘッドはもちろんウッドベリー&岡田チームを目指している訳ではありません。そしてどうかレイ&ジェフ選手の地道なプレーも見て頂ければ嬉しいです。
滋賀の補強はある意味怖いですよ。他のチームでは凄くても、このチームに来ると何故か途端に空回りしますから。そして基本育成しませんからねこのチームは。
ただ、岡田選手だけは安心しています。浜口ヘッドに鍛えられた選手ですから。
遠山ヘッドはもちろんウッドベリー&岡田チームを目指している訳ではありません。そしてどうかレイ&ジェフ選手の地道なプレーも見て頂ければ嬉しいです。
Posted by せん(閃)
at 2014年10月21日 05:05

エヴェッサ戦のレポート、ありがとうございます。
試合を観ていないのでスコアから推察していたのですが、今期のエヴェッサはディフェンスが悪く、選手個人の仕上がりが余程出来ていないのだろうと心配していました。
このレポートを拝見し少し安心しました。
レイクスは好調なスタートですが、まだまだ伸び代がありそうですね。
bjでは、シーズンごとチーム作りが開幕ぎりぎりになるチームが多いので、コーチは大変と思います。ゲームを経て、如何に強いチームに変化するか、楽しみです。
試合を観ていないのでスコアから推察していたのですが、今期のエヴェッサはディフェンスが悪く、選手個人の仕上がりが余程出来ていないのだろうと心配していました。
このレポートを拝見し少し安心しました。
レイクスは好調なスタートですが、まだまだ伸び代がありそうですね。
bjでは、シーズンごとチーム作りが開幕ぎりぎりになるチームが多いので、コーチは大変と思います。ゲームを経て、如何に強いチームに変化するか、楽しみです。
Posted by kamijo tadaharu at 2014年10月21日 12:01
kamijoさん
大阪と滋賀の今シーズンのチームは実は似ているのではないかと僕は思っています。なので得意な点や問題点も共通したものがあるのかなと。
この一戦の結果は両チームにとっては非常に大きなものになったのではないかと思います。大阪の次の対戦相手は島根、こういう時に連敗中の相手と闘うのは実は嫌なものです。相手は死に物狂いですからね。大阪は真価が問われるでしょう。
あびんこ商店街や布施の商店街の大阪エヴェッサを心から愛する皆さんや、有明に久しく行けていない多くのエヴェッサブースターの笑顔の為に、今シーズンのエヴェッサの復活を心より祈っています。
大阪と滋賀の今シーズンのチームは実は似ているのではないかと僕は思っています。なので得意な点や問題点も共通したものがあるのかなと。
この一戦の結果は両チームにとっては非常に大きなものになったのではないかと思います。大阪の次の対戦相手は島根、こういう時に連敗中の相手と闘うのは実は嫌なものです。相手は死に物狂いですからね。大阪は真価が問われるでしょう。
あびんこ商店街や布施の商店街の大阪エヴェッサを心から愛する皆さんや、有明に久しく行けていない多くのエヴェッサブースターの笑顔の為に、今シーズンのエヴェッサの復活を心より祈っています。
Posted by せん(閃)
at 2014年10月21日 14:40

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