2015年05月06日
5月3日(日)滋賀レイクスターズ 対 大阪エヴェッサ 戦
~ターキッシュエアラインズbjリーグ プレイオフファーストラウンド~
大阪エヴェッサのプレイ出来る外国人選手は3人。滋賀レイクスターズがこのファーストラウンドで勝利するために遂行しなければならなかったプレイは、この外国人選手3人をファールトラブルに導く事。レイクスは最初からその明確な意思を持っていました。
それを象徴するかの様に第一クォーターからレイクスは積極的にドライブを仕掛けます。実はレイクスはオフェンスチャージの非常に少ないチームで、どの選手も必ずフィニッシュの時に上手く身体を捻り、瞬間にブロッキングにする技術を持っています。レイクスの各選手は序盤からこの技をいかんなく発揮します。それを象徴したのが第一クォーター終了間際に飛び出した伸也キャプテンのドライブ→FTだったのではないでしょうか。
しかし大阪エヴェッサは日本人ガードの成長が目覚しく、一番のストロングポイントであるハイポストのスタックで相馬選手や翔太選手が次々とアウトサイドを決めていきます。何故これが出来るかと言うと、エヴェッサの日本人選手は昔からキャッチしてからのシュートが早いからです。それはバシ選手、直人選手、翔太選手と脈々と受け継がれ、本当にこのチームの素晴らしいカルチャーの一つだと思います。
しかしレイクスの作戦通りにエヴェッサの外国人選手が次々とファールを重ねてしまいます。レイクスの前半の得点の48点のうちFTで得た得点が実に22点、リバウンドも圧倒。この時点で正直勝負あったと思いました。
後半に入るとレイクスは攻撃パターンに巧みにアウトサイドを組み入れます。必ずエヴェッサディフェンスを収縮させてペリメータを放つ。また、ワイドオープンを心掛け、逆サイドのロングパスでスリーポイントを決める。このパスは岡田、レイ、ジェフ選手だから出来る芸術品で、会場のボルテージも一気にヒートアップします。そして岡田選手がドライブを仕掛ける時には必ずジェフ選手が合わせに入るのも見事な完成品となりました。
しかし一番嬉しかったのはヨコ選手がやっとここに来て『プレイオフ豊』になってくれた事でした。思えばシーズン前、遠山ヘッドはヨコ選手のガッツの無さを非常に嘆いておられました。遥太選手をスターターで使うのは実はヘッドコーチの本意では無かったのではと僕は思うのです。恐らく多くのレイクスブースターも『なぜ?』という気持ちの方が多かったのではないでしょうか。しかし遠山ヘッドは“闘志なき者は試合では使わない”事を信条とされている監督です。遥太選手が見事に期待に応えてくれたのも立派でしたが、大卒ルーキーにプレイオフPGの全般を任せるにはあまりにも荷が重過ぎます。
ヨコ選手がルーズボールに飛び込む気迫を漲らせてくれた時、相手が止まった瞬間にピボットすら許さないハードプッシュする時こそ、レイクスの最後のピースがやっと埋まる瞬間だと思いました。
しかしレイクスには大きな課題が残ります。それはクリス選手のファイトが足りない点です。これは一番マズイ時期に怪我や病気を重ねてしまったのが大きく影響していると思いますが、エヴェッサ戦と違いハンナリーズ戦はクリス選手の強いハートが絶対必要不可欠です。ハンナリーズアリーナでの初戦でレイクスはケビン選手に30点を献上してしまいましたが、ジェフ&レイ選手のダブルチームで抑えに行ってももろともしなかったあのゲビン選手のフィジカルに対抗出来るのはクリス選手しか居ません。しかし今のクリス選手にはまだまだプレイがリングから遠いのです。
レイクスが唯一ハンナリーズからあげた1勝は、岡田選手の活躍の陰で、クリス選手がケビン選手をペイントから追い出してくれたのが非常に大きいものでした。ただでさえレジー選手とジェフ選手では明らかに体格差でミスマッチ。それをジェフ選手の強いハートでカバーしなければならないというのは試合前から既にハンディキャップを背負っているも同然です。しかしレジー選手の強いハートは今更言うまでも無いでしょう。ジェフはそうやって今シーズン、自分よりも大きい選手とファイトを重ねてきました。それが彼が『男の中の男』と称される所以だと思います。
ケビン選手にオフェンスリバウンドを取られた時点でレイクスに勝機はありません。ハンナリーズアリーナでクリス選手が『男の中の男』になれるかどうか、レイクスの命運はそこにかかっていると思います。
今シーズンのホームゲームラストのMVPがマサ選手というのが嬉しかったですね。遠山ヘッドが『どうしても欲しい。』と懇願して獲得したマサ選手。レイクスは何度この選手に助けられてきた事でしょうか。
マサ選手のマッチアップの相手はいつもエース級の選手ばかり。日本人選手だけではありません。バーンズ選手やオルー選手、ライアン選手にも彼がマッチアップしなければならない時もありました。それによる“ズレ”がなければ、岡田選手があれだけ力を発揮する事も難しかったのではないでしょうか。
遠山ヘッドがいつかこんな事を語ってくれました。『ウチだってチームが崩壊寸前にまで追い込まれた時がありました。しかし崩壊しなかったのはマサが居てくれたからです。』
もしレイクスにシーズンMVPなるものがあったとしていたら、それを彼に与えても誰も異論は無いのではないでしょうか。
四方山話
ハーフタイムに滋賀レイクスターズの坂井代表より三日月滋賀県知事に、新リーグで1部リーグを目指し、その為のアリーナ整備を嘆願する1万4千もの署名が手渡されました。滋賀県立体育館の試合に県知事が駆けつけて下さる。これは本当に素晴らしい事であり、実に有難い事だと思いました。
僕も滋賀レイクスターズは是が非でも新リーグ1部入りを目指すべきだと思っていて、その理由は二つあります。まず一つ目は滋賀レイクスターズという親会社も何の基盤も無い、全くゼロからスタートの市民球団がbjリーグに参入した時に味わった“後発チームの苦しみ”です。レイクスがbjに加入した時、既に周りには大阪エヴェッサ、高松ファイブアローズ、琉球ゴールデンキングス等の完成されたチームがひしめき合っていました。初年度からレイクスブースターをされている方々なら分かって頂けると思いますが、この何とも言い難いハンディキャップは本当に拭いきれないものがありました。しかし新リーグの初年度から1部入りを果たせたなら、とにかくスタート位置が同じ所から戦えるのです。このアドバンテージは非常に大きいと思います。
それともう一つは現時点で川淵チェアマンというJリーグ出身の方が指揮を取っているという点です。ご存知の通りJリーグではレンタル移籍制度というシステムを採用しています。この制度のメリットの一つとして高い移籍金を払わずにその選手を戦力として補強することが出来るという点がありますが、万が一ユーロバスケの様にこの制度が新リーグで導入された場合、経営が安定していないチームが多い日本バスケット界ではメリットが大きいかも知れません。
しかし同時にサッカー界でよく見かける光景として、下部のチームが昇格した途端にそのレンタル移籍選手を引き上げてしまい、たちまちにして戦力ダウンを図るケースがあります。それが出来るのは先発チームだからこそです。今回は従来のバスケット界の悪しき常識に囚われない方が指揮を取っている以上、何が起こるかわかりません。とにかく後発のチームが先発のチームに肩を並べるのには大変な労力が必要だという事です。
今度ばかりは“蓋を開けてみれば何もかもレベルが違い過ぎる”あの惨めな気持ちにだけはなりたく無いと切に願うからです。
新型ムーヴ誕生の滋賀ダイハツ Presents
5月3日(日) ○滋賀レイクスターズ 93 − 68 大阪エヴェッサ●
1Q 24−24
2Q 24−14
3Q 22−17
4Q 23−13
大阪エヴェッサのプレイ出来る外国人選手は3人。滋賀レイクスターズがこのファーストラウンドで勝利するために遂行しなければならなかったプレイは、この外国人選手3人をファールトラブルに導く事。レイクスは最初からその明確な意思を持っていました。
それを象徴するかの様に第一クォーターからレイクスは積極的にドライブを仕掛けます。実はレイクスはオフェンスチャージの非常に少ないチームで、どの選手も必ずフィニッシュの時に上手く身体を捻り、瞬間にブロッキングにする技術を持っています。レイクスの各選手は序盤からこの技をいかんなく発揮します。それを象徴したのが第一クォーター終了間際に飛び出した伸也キャプテンのドライブ→FTだったのではないでしょうか。
しかし大阪エヴェッサは日本人ガードの成長が目覚しく、一番のストロングポイントであるハイポストのスタックで相馬選手や翔太選手が次々とアウトサイドを決めていきます。何故これが出来るかと言うと、エヴェッサの日本人選手は昔からキャッチしてからのシュートが早いからです。それはバシ選手、直人選手、翔太選手と脈々と受け継がれ、本当にこのチームの素晴らしいカルチャーの一つだと思います。
しかしレイクスの作戦通りにエヴェッサの外国人選手が次々とファールを重ねてしまいます。レイクスの前半の得点の48点のうちFTで得た得点が実に22点、リバウンドも圧倒。この時点で正直勝負あったと思いました。
後半に入るとレイクスは攻撃パターンに巧みにアウトサイドを組み入れます。必ずエヴェッサディフェンスを収縮させてペリメータを放つ。また、ワイドオープンを心掛け、逆サイドのロングパスでスリーポイントを決める。このパスは岡田、レイ、ジェフ選手だから出来る芸術品で、会場のボルテージも一気にヒートアップします。そして岡田選手がドライブを仕掛ける時には必ずジェフ選手が合わせに入るのも見事な完成品となりました。
しかし一番嬉しかったのはヨコ選手がやっとここに来て『プレイオフ豊』になってくれた事でした。思えばシーズン前、遠山ヘッドはヨコ選手のガッツの無さを非常に嘆いておられました。遥太選手をスターターで使うのは実はヘッドコーチの本意では無かったのではと僕は思うのです。恐らく多くのレイクスブースターも『なぜ?』という気持ちの方が多かったのではないでしょうか。しかし遠山ヘッドは“闘志なき者は試合では使わない”事を信条とされている監督です。遥太選手が見事に期待に応えてくれたのも立派でしたが、大卒ルーキーにプレイオフPGの全般を任せるにはあまりにも荷が重過ぎます。
ヨコ選手がルーズボールに飛び込む気迫を漲らせてくれた時、相手が止まった瞬間にピボットすら許さないハードプッシュする時こそ、レイクスの最後のピースがやっと埋まる瞬間だと思いました。
しかしレイクスには大きな課題が残ります。それはクリス選手のファイトが足りない点です。これは一番マズイ時期に怪我や病気を重ねてしまったのが大きく影響していると思いますが、エヴェッサ戦と違いハンナリーズ戦はクリス選手の強いハートが絶対必要不可欠です。ハンナリーズアリーナでの初戦でレイクスはケビン選手に30点を献上してしまいましたが、ジェフ&レイ選手のダブルチームで抑えに行ってももろともしなかったあのゲビン選手のフィジカルに対抗出来るのはクリス選手しか居ません。しかし今のクリス選手にはまだまだプレイがリングから遠いのです。
レイクスが唯一ハンナリーズからあげた1勝は、岡田選手の活躍の陰で、クリス選手がケビン選手をペイントから追い出してくれたのが非常に大きいものでした。ただでさえレジー選手とジェフ選手では明らかに体格差でミスマッチ。それをジェフ選手の強いハートでカバーしなければならないというのは試合前から既にハンディキャップを背負っているも同然です。しかしレジー選手の強いハートは今更言うまでも無いでしょう。ジェフはそうやって今シーズン、自分よりも大きい選手とファイトを重ねてきました。それが彼が『男の中の男』と称される所以だと思います。
ケビン選手にオフェンスリバウンドを取られた時点でレイクスに勝機はありません。ハンナリーズアリーナでクリス選手が『男の中の男』になれるかどうか、レイクスの命運はそこにかかっていると思います。
今シーズンのホームゲームラストのMVPがマサ選手というのが嬉しかったですね。遠山ヘッドが『どうしても欲しい。』と懇願して獲得したマサ選手。レイクスは何度この選手に助けられてきた事でしょうか。
マサ選手のマッチアップの相手はいつもエース級の選手ばかり。日本人選手だけではありません。バーンズ選手やオルー選手、ライアン選手にも彼がマッチアップしなければならない時もありました。それによる“ズレ”がなければ、岡田選手があれだけ力を発揮する事も難しかったのではないでしょうか。
遠山ヘッドがいつかこんな事を語ってくれました。『ウチだってチームが崩壊寸前にまで追い込まれた時がありました。しかし崩壊しなかったのはマサが居てくれたからです。』
もしレイクスにシーズンMVPなるものがあったとしていたら、それを彼に与えても誰も異論は無いのではないでしょうか。
四方山話
ハーフタイムに滋賀レイクスターズの坂井代表より三日月滋賀県知事に、新リーグで1部リーグを目指し、その為のアリーナ整備を嘆願する1万4千もの署名が手渡されました。滋賀県立体育館の試合に県知事が駆けつけて下さる。これは本当に素晴らしい事であり、実に有難い事だと思いました。
僕も滋賀レイクスターズは是が非でも新リーグ1部入りを目指すべきだと思っていて、その理由は二つあります。まず一つ目は滋賀レイクスターズという親会社も何の基盤も無い、全くゼロからスタートの市民球団がbjリーグに参入した時に味わった“後発チームの苦しみ”です。レイクスがbjに加入した時、既に周りには大阪エヴェッサ、高松ファイブアローズ、琉球ゴールデンキングス等の完成されたチームがひしめき合っていました。初年度からレイクスブースターをされている方々なら分かって頂けると思いますが、この何とも言い難いハンディキャップは本当に拭いきれないものがありました。しかし新リーグの初年度から1部入りを果たせたなら、とにかくスタート位置が同じ所から戦えるのです。このアドバンテージは非常に大きいと思います。
それともう一つは現時点で川淵チェアマンというJリーグ出身の方が指揮を取っているという点です。ご存知の通りJリーグではレンタル移籍制度というシステムを採用しています。この制度のメリットの一つとして高い移籍金を払わずにその選手を戦力として補強することが出来るという点がありますが、万が一ユーロバスケの様にこの制度が新リーグで導入された場合、経営が安定していないチームが多い日本バスケット界ではメリットが大きいかも知れません。
しかし同時にサッカー界でよく見かける光景として、下部のチームが昇格した途端にそのレンタル移籍選手を引き上げてしまい、たちまちにして戦力ダウンを図るケースがあります。それが出来るのは先発チームだからこそです。今回は従来のバスケット界の悪しき常識に囚われない方が指揮を取っている以上、何が起こるかわかりません。とにかく後発のチームが先発のチームに肩を並べるのには大変な労力が必要だという事です。
今度ばかりは“蓋を開けてみれば何もかもレベルが違い過ぎる”あの惨めな気持ちにだけはなりたく無いと切に願うからです。
新型ムーヴ誕生の滋賀ダイハツ Presents
5月3日(日) ○滋賀レイクスターズ 93 − 68 大阪エヴェッサ●
1Q 24−24
2Q 24−14
3Q 22−17
4Q 23−13
1月11日(日)滋賀レイクスターズ 対 群馬クレインサンダース 戦
12月13日(日)滋賀レイクスターズ 対 新潟アルビレックスBB 戦
11月29日(日)滋賀レイクスターズ 対 広島ライトニング 戦
5月24日(日)岩手ビッグブルズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月23日(土)浜松東三河フェニックス 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月10日(日)京都ハンナリーズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
12月13日(日)滋賀レイクスターズ 対 新潟アルビレックスBB 戦
11月29日(日)滋賀レイクスターズ 対 広島ライトニング 戦
5月24日(日)岩手ビッグブルズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月23日(土)浜松東三河フェニックス 対 滋賀レイクスターズ 戦
5月10日(日)京都ハンナリーズ 対 滋賀レイクスターズ 戦
Posted by せん(閃) at 11:11│Comments(2)
│レイクス
この記事へのコメント
キングス対滋賀のゲームを観戦した際に
加納がバーンズをマークしていたので
とても驚きました。
さすが遠山HCが欲しがった選手ですね。
そしてホルムとコッツァーのインサイド。
勝利の鍵を握るこのインサイド陣の攻防が
今からとても楽しみです。
プレイオフは何が起こるかわかりませんが
基本を遂行できるチームが勝つと思います
そういう意味では京都は強敵ですが
今季の滋賀ならアップセットできると思っています。
京都から滋賀に再び移籍してよかったと
岡田に思わせるためにも滋賀には
頑張ってほしいです。
加納がバーンズをマークしていたので
とても驚きました。
さすが遠山HCが欲しがった選手ですね。
そしてホルムとコッツァーのインサイド。
勝利の鍵を握るこのインサイド陣の攻防が
今からとても楽しみです。
プレイオフは何が起こるかわかりませんが
基本を遂行できるチームが勝つと思います
そういう意味では京都は強敵ですが
今季の滋賀ならアップセットできると思っています。
京都から滋賀に再び移籍してよかったと
岡田に思わせるためにも滋賀には
頑張ってほしいです。
Posted by わさびーふ at 2015年05月07日 01:57
わさび〜ふさん
滋賀へのエールは嬉しく思いますが、京都44勝、滋賀34勝。アップセットするには10勝はあまりにも差が大き過ぎます。仙台と青森は14勝の差がありましたが、このカードと比べて経験値と完成度が桁違いです。
バスケットって、そんなものですよ。
ただそういう意味ではキングスとフェニックスは全く分かりませんねー。キングス有利には変わりませんが、フェニックスにはプレイオフ秘密の武器があります。
問題は東野ヘッドがその事に気づけるかどうかですが…。
滋賀へのエールは嬉しく思いますが、京都44勝、滋賀34勝。アップセットするには10勝はあまりにも差が大き過ぎます。仙台と青森は14勝の差がありましたが、このカードと比べて経験値と完成度が桁違いです。
バスケットって、そんなものですよ。
ただそういう意味ではキングスとフェニックスは全く分かりませんねー。キングス有利には変わりませんが、フェニックスにはプレイオフ秘密の武器があります。
問題は東野ヘッドがその事に気づけるかどうかですが…。
Posted by せん(閃) at 2015年05月07日 08:12
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