ラジヲとギター

エヴェッサのバスケットに答えがあった気がする。あのバスケットを本来ならレイクスがしなければならなかった。

エヴェッサのターンオーバーからのファーストブレイクの完成度、あれは正直レイクスには真似出来ない。シュートに持っていけなくても最低限ナイルはファールをもらう、しかもシュートモーションで。だからエヴェッサが相手の時のミスは致命傷となってしまう。

エヴェッサにはセンターが居ない。センターが居ないチームがセンターが３人もいるチームに勝つためにはどうすれば良いか？。それはペイントエリアで基本に忠実なバスケット、つまりボックスアウトで相手を閉め出すしかない。それを忠実にやった。写真を沢山撮った人なら目にするだろう、デイビットとライアンが必死にレイを追い出している姿を。

高田がＷＡＲＡやジョーに執拗なディフェンスをやった。脚が無く、サイズのあるチームに対する基本、ガードとフォワードの分断、これをしっかりとやるから喉から手がでるほど欲しいターンオーバーが転がり込む。

エヴェッサが凄かったというよりも、基本に忠実なバスケットをやった。それこそ学生に教えるような教科書通りのバスケットをやった。一人一人は決して凄いタレントは居ないけれど、みんなで一つになってそれぞれがテーマに向かって忠実に役割を果たした。今のレイクスに一番必要なものだ。

何で土曜日に勝たないといけないか。後半戦は強いチームはすこぶる強いが、弱いチームはまるっきし弱くなるからだ。そういう格差が生まれる。そして弱いチームは目標を失い、更に弱くなる。だから後半戦からの１節は１勝１敗が減る。土曜日に勝ったチームがそのまま日曜日も獲る。その事はレイクスは昨シーズンの１月２月で嫌という程味わった筈だ、知らない訳ではあるまい。

ヒートデビルズに勝つためのシナリオがエヴェッサの戦い方に埋まっている。そしてナイルの突破力以外は全てレイクス銀行にも埋蔵されているものばかりだ。

よく「シュートタッチが悪い。」と語られる。僕はその言葉にはあまり意味がないと思っている。シュートタッチが悪いんじゃない。ナオトを見ればよく分かるけど、決められるシュートしか打っていないんだ。ナオトが決められるシュートチャンスを、他の４人が全員で演出している。同じシーンでボビーやジョーが打っても入るに決まっている。ボビーやジョーから欲しい３ポイントは逆転のバクチ３ポイントじゃない。相手にとどめを刺す３ポイントなんだ。同じように何で天日ＨＣが呪文のように、「ファーストブレイク。」と言い続けるか．．．．．、ターンオーバーは相手の戦意を削ぐ最も効果的な方法だからだ。

今からレイクスに脚力を求めても仕方がない、不沈艦隊摩天楼軍団を形成したのだから。でも脚が無くてもディフェンスでエリアを守る事は出来る。エリアを守る事はそのままリバウンドに繋がる。ボールが無い場所でのファールを怖がらなかったデイビットやライアンのあの根性を、レイ、ルーク、ゲイリー、クリスが今度は魅せる番だ。それを必死にやって初めてベルやシングルトンとやっと互角になるという事を忘れないで欲しい、何故なら彼らには脚があるからだ。そこをサボッたら無残な残骸しか残らない。ファールを怖がるな！、そして腕ではなく背中で守るんだ。ベルにはアウトサイドもあるけれど全ては守れない。どちらかを徹底的に封じ込めよう。そうすれば相手も考える。よく桶谷ＨＣが「リンワシントンに気持ち良くバスケットをさせてはいけない。」と言うがまさにそれ、「レイクス？、うっとうしいなぁ。」と思わせないといけないんだ。

リッキーやジョッシュみたいなタイプを苦手にしていたら偽りのディフェンスのチームだ。ｂｊではなかなかチャージングは取ってくれない。リッキーはジョッシュよりももっとリング下が好きな選手、それは彼のリバウンド数を見たら分かる。彼を封じ込めようと思ったら彼のドライブを受け止めるしかない。そこを逃げるという事はすなわち彼に３０点を献上する事になる。怖い、確かに怖い。特にルーク、怖いだろう。この２日間、君の脚から背中からは戦意を感じられなかった。大学新卒の君には無理も無い、この前ペッパーズにやられた残像が今でも残っているだろう。

去年居たライアンロークもＷＡＲＡも顔に青アザを作りながらそれでも懸命にチームを引っ張った。君にはこれから先、長い長いバスケット人生が待っている。この試練をどうか見事に乗り越えて欲しい。恐怖を乗り越えるには恐怖と闘うしかないんだ。サイズのある君には相手は寄ってたかって潰しにかかる。でもそれに負けるという事はユニフォームを脱ぐしかなくなるんだ。ゼラー家の誇りに賭けて、そんな事は許される事ではないだろう。恐怖を乗り越え、あのブロックショットの時の厳しい表情をどうか取り戻して欲しい。

昔僕が居たチームはちびっ子ばっかりだった。その時に練習させられたのはドリブル無しでのオフェンスだ。これは今でもよく覚えている。ドリブルがないから自然と他の４人は脚を使うしかない。少しでも脚が止まるとたちまちディフェンスに潰される。

ドリブル無しは極端な例かもしれないけれど、その精神を大切にして欲しい。フェニックスに勝った時のバスケットを思い返して欲しい。レイクスがオフェンスで勝つ時はベースラインを効果的に攻めている。これは脚を動かしている何よりの証拠だ。ポストマンゲイリーが囮になり、リング下のレイに鋭いパスが繋がった。ＷＡＲＡもベースラインを駆け抜けた。ベースラインに入ってもベルやシングルトンのブロックショットがあるかもしれない。しかし大切な事は攻めるエリアを広げたら、それだけディフェンスのチェックが大変になり、注意が散漫になる事だ。そうする事でジョーのドライブのチャンスが生まれるんだ。

ゲイリーの起点に、フォワード陣は鋭く反応しよう。ゲイリーはアシストがうまいから、彼のパスは必ず貫通する。バウンズだってちゃんと逆スナップをかけてディフェンスのカットを防いでくれる。

ゲイリーがドリブルでリング下に行った時、クリス・ルーク・レイは必ず逆サイドに行ってくれ。そしたらシュートと見せかけてベルやシングルトンのブロックショットをかわせるし、何よりオフェンスリバウンドのチャンスが生まれる。

ジョーやボビーのアウトサイドはみんなでスペースを作ろう。ピンで得点をさせてもらえるお人好しなチームなんて存在しないのだから、もうそういう甘えは金輪際持たない事だ。今更個人成績なんてどうでも良いじゃないか。マイケルパーカーだって優勝出来るのなら得点王なんてどうでもいい筈だよ。個人成績がそのままチームの勝利に結びつくというのならキングスは何故強い？、エヴェッサは何故強い？。

この苦しい時にゲンのいい米原っていうのがいいじゃないか。米原は良い会場だ、屋台の広島焼きも美味しいし、何より店員さんがとても気さくで親切だ。だから心機一転にはもってこいの場所だよ、それは関係ないか。

湖北の地で思い切りレイクスのバスケットを展開しよう。昔バスケット少年だった時の、無我夢中でボールを追いかけた時の純真で必死で真っ直ぐなバスケットを思いっきり展開しよう。１球、１脚、１守にみんなの魂を込めて欲しい。それで負けたらしょうがない。でもそれをしないで負けるからブースターはみんな納得出来ないんだよ。

チームプレイ、そして１点の重みをどれだけ理解して戦っているか。コーチ、選手、しげさん、それぞれの星（点）が１本の綱で繋がった時に初めてバスケットの神様は勝利を捧げてくれる。点と点のままであるチームが勝てるほどこのスポーツは甘くは無い、絶対に無い！。

男なら、必ず人生を賭けた戦いを挑まなきゃいけない時がある。この週末がまさにその時だ。これからもあなたたちにはバスケットの人生が続くかもしれない。でも今回全てを出し切るか出し切らないか、今後のそれぞれのバスケット人生に大きな影響を与えると思う。

あなたたちは今、今やらなきゃならない時なんだ。今やらなきゃいけないんだよ。