「松の司」の故郷、松瀬酒造を訪ねて

せん(閃)

2013年04月24日 11:40


松の司とは滋賀県蒲生郡竜王町で作られている素晴らしい日本酒の銘柄で、今回その酒蔵を見学する機会を得る事が出来ました。お酒の知名度にしてはかなり控えめの案内表示でした。

これは杉玉といいます。日本酒の造り酒屋などの軒先に酒を搾ると緑色の杉玉を軒先に掲げ、新酒ができたという事を知らせます。杉玉は時間の経過と共に枯れ徐々に茶色くなっていくのですが、この杉玉の色合いでお酒の熟成具合を教えてくれるという仕組みです。

お酒を作る上で原料となるお米(酒造好適米)の最高級は兵庫県三田市周辺で作られる山田錦だそうです。

竜王にも山田錦があるそうなのですが、希少品種のために手に入らなかったそうです。その後なんとか種籾は手に入ったものの、滋賀では認可されていなかったため山田錦と表記が出来ず「その他の米」と表記しなければなりませんでした。それでも松瀬酒造さんは「たとえ表記が出来なくても、まずは良い品質のものを作ろう!」という理念で、山田錦を竜王で作る活動を始められました。

「地産地消」とは、「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味ですが、僕はその事にはあまり意味が無いと思っています。むしろ生産者と消費者を結び付け、『顔が見え、話が出来る』事により、消費者の「地場農産物」への愛着心や安心感が深まる事に意味があるのではないだろうかと思っております。

洗米後の吟吹雪という名の酒米です。

良い日本酒を造るために雑味の原因となる米のタンパク質や脂肪灰分を、精米によって取り除く作業が必要です。大吟醸や吟醸などはこの好適米を60~50%も磨きあげて造られると言うのですから何とも贅沢な話ですね。

出来たばかりの酒粕です。これをこのまま頂きます。いやこれがまた実に美味しいんです。

昔から酒造りにおいて「一麹・二酛・三造り」と言う言葉の通り、「良い酒を造るには、良い麹を造ること」が一番大切だとされています。この部屋は麹室(コウジムロ)と呼ばれる部屋で、徹底した温度・湿度管理が施されています。

何と麹もその場で頂く事が叶いました。ほんのり甘いんです。

これは酒母。蒸し米に麹を加えて発酵させたもので、日本酒のもろみを作る元になります。酵母を増やしている工程で、大きな仕込みに入る前に、この小さなタンクでしっかりと酵母を増やして本仕込みへと向かう前段階です。ここの説明が一番難しくて覚えるのが大変でした。表面が酵母菌でプクプクと生きている姿を見た時、日本人の叡智の素晴らしさに感服せずには居られませんでした。

実はこの中は二酸化炭素の塊のような空間なので、一歩間違えれば非常に危ない場所でもあるそうです。

そしていよいよ本仕込みの段階に入っていきます。

出来たばかりの原酒を頂きました。表現が難しいのですが、液体の宝石とでも言いましょうか。こんな贅沢な時間を享受出来るなんて本当に幸せでした。

お酒は別名御神酒(おみき)と言います。おみきと言うのは神や天皇陛下に奉げるお酒を指します。今回松瀬酒造さんにお酒が出来る仕組みを教えて頂いて、その意味を垣間見る思いでした。松の司こそ正にそれに相応しいお酒だと思います。

良い日本酒を作るのに一番大切なものは「土と水と米」。これを一つでも失ってしまうと立ちどころにして我々は「松の司」を失ってしまいます。皆さん、良い国とはどういう姿だと考えられますでしょうか。僕は良い国のバロメーターとして、未来永劫いつでも手軽に「松の司」を楽しむ事が出来る。国土を守り、そしてこの「松の司」を未来にしっかりと残してあげる。この事がとても重要ではないかと感じました。

番外編

一瞬でも「並里」に見えたらあなたも立派なバスケ病です。

貯蔵庫の中には宝の山がぎっしりと。う~ん、ルパン三世になりたい~。

近くの公園では絶賛広告募集中でした。


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